「内視鏡手術」は、がん治療のうち、早期である場合に適用されることが多い手術法のひとつです。
体表にメスを使わないので体への負担が少なく、入院期間も短くて済みます。
なにより手術によって臓器を失うことなくそのまま残すことが可能です。
内視鏡手術の対象になるのは、消化器系の中でも主に食道がん、胃がん、大腸がんです。
当院の現在の内視鏡手術は、大腸がんは年間手術件数200例中50例と約4分の1、胃がんでは200例中70〜80例で3割〜4割、食道がんにいたっては30〜40例のうち約15例と半数近くに達しており、体表にメスを使わない手術でありながら大きな割合を占めています。
内視鏡手術では、胃カメラなどの器具を口や肛門から挿入し、内部から腫瘍を切除します。
そのため、患部は人工の胃潰瘍のような状態になりますが、薬を飲めばそのまま治ってしまいます。
入院期間も短く、食道がんや胃がんなら6日、大腸がんでは2〜3日の入院で済みます。
また、手術中は静脈麻酔を使用しますから、あらゆる面で体への負担が少ないと言えるでしょう。
よく「胃の2/3を摘出した」などと耳にすることがあるかと思いますが、内視鏡手術ではそうしたことはありません。
臓器をそのまま残し、病巣部だけをしっかりと切除することが可能です。
ただし、がんである以上、再発する恐れがありますから、取り残しは決して許されません。
内視鏡手術であるからと言って、手術が簡単なわけではなく、通常は1〜2時間、難しい症例では3〜4時間かかることもあります。
時間をかけても、1回の手術できちんとすべてを取り除くことが大切です。