下垂体腫瘍摘出術とは

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下垂体(かすいたい)とは、頭部のほぼ中央部に位置し、さまざまなホルモンを司っている非常に小さな脳組織です。
当院では開院以来、下垂体腫瘍摘出術を多く行ってきましたが、「神経内視鏡」という新しい医療機器によって、さらに確実で安全性の高い手術が行われるようになりました。

下垂体腫瘍の手術

県内では2施設のみが導入する神経内視鏡手術を採用 ※平成28年4月現在
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下垂体腫瘍の手術は、ほとんどの場合、鼻腔(鼻の穴)から行います。
数年前までは、顕微鏡を用いた手術が主流でした。
顕微鏡手術では、鼻の先に置いた顕微鏡から鼻腔内に細長い器具を入れて手術を行います。
しかし、幅わずか1〜2センチ程度の鼻腔を通して、鼻の穴から十数センチも奥にある非常に小さな組織にメスを入れるのは至難の業です。
そこで当院では、最新の神経内視鏡手術を採用しています。

鼻から下垂体のごく近くまでハイビジョン内視鏡カメラを入れることによって、術野が格段に良好になり、より正確で細やかな手技が可能になりました。

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ホルモンと下垂体

非常に小さい脳組織ながら多くのホルモンを司る“下垂体”

下垂体とは、頭部のちょうど中央部あたり、鼻の奥に位置する非常に小さな脳組織です。
大きさはわずか直径約1cm、小指の先ほどしかありません。
しかしながら、この下垂体の大きな特徴は、全身のさまざまな機能維持に関わる多種類のホルモンを分泌する中枢的な器官であると、いうことです。
下垂体腫瘍はこれらのホルモンを過剰分泌させることから、脳とは別の部位の身体の異常で発見されます。
さらに、下垂体のちょうど上側には、眼球からの視覚情報を脳に伝える「視交叉」という伝導路があります。
腫瘍で下垂体が肥大し、視交叉の圧迫を生じて、ものが見えづらくなる視覚障害で発見されることもあります。

下垂体腫瘍によって起こる代表的な3つのホルモン分泌障害

下垂体腫瘍は、下垂体の腺細胞が増える良性の病気です。
ですから、発見されてもすぐに治療が必要ない場合もあります。

治療が必要となるのは、以下の通りです。
  1. ホルモンの分泌異常により、身体に何らかの障害が認められる場合
  2. ホルモン分泌異常を伴わない腫瘍(「非機能腺腫」という)であっても、先に述べたとおり視覚障害が認められる場合、もしくは、腫瘍が大きくなってきた場合
1.のホルモン分泌異常には、大きく分けて3種類のホルモン過剰産生があります。

(1)プロラクチン

プロラクチンは、女性の場合、妊娠・出産に大きく関わりのあるホルモンです。
過剰産生により無月経や不妊症となり、婦人科からの紹介を受け、頭部の画像検査などによって下垂体腫瘍が発見されることもあります。
さらに、妊娠していないにもかかわらず乳汁分泌を起こします。
一方、男性では、乳汁分泌や女性化乳房(乳房が膨らんでくること)などの症状がまれに見られます。
また、見えづらいなどの視覚異常が認められることもあります。

(2)成長ホルモン

成長ホルモンの過剰分泌により、鼻・唇・舌・手足などが異常に大きくなり過ぎてしまう「先端巨大症」という症状が出たり、成長を急がせる作用が加齢をも促進させることで、高血圧・糖尿病・大腸がんなどを合併することもあります。

(3)副腎皮質刺激ホルモン

副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌は、「クッシング病」と呼ばれ、顔が丸くなる・体幹部のみ異常に太る・にきびができる・皮膚に割れ目や色素沈着が起きるなどの特徴的な症状が出現します。また、非常に不健康な状態であり、高血圧や高血糖による糖尿病を併発したり、うつ傾向になることもあります。

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薬物治療について

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内分泌・代謝内科と連携した万全の体制
下垂体腫瘍は、ホルモン分泌に関わる病気であることから、下垂体腫瘍の治療には薬物治療が第一選択となる場合があります。
さらには、術後の一時的にホルモン分泌が足りない状態にも薬物療法が必要となります。

こうしたことから、内分泌・代謝内科の専門医による診断・治療も非常に重要であり、当院では内分泌・代謝内科と脳神経外科が連携して万全の体制で下垂体腫瘍の治療にあたっています。