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脳血管内治療科

当科の特徴および診療内容

脳血管内治療について

脳血管内治療

脳血管内治療は、血管の状態をエックス線で連続撮影することができる「血管撮影装置」という医療機器を利用して行います。
血管内に「造影剤」という薬液を注入することで、血管の状態が鮮明に映し出され、その画像を確認しながら治療を行います。


頭部に傷を作らず負担の少ない手術

従来の脳卒中治療は、薬物による治療のほか、頭部にメスを入れて皮膚を切り開き、頭蓋骨に穴を開けて治療する手術(「開頭手術」)しか方法がありませんでした。
それが十数年前より、「脳血管内治療」という新たな治療法が導入され、急速に普及しつつあります。
この脳血管内治療では、足の付け根の血管からカテーテルと呼ばれる専用の管を通して、脳内の病変部へと到達させ治療を行います。
体の中から治療を行うので大きな傷を創ることもなく、痛みもほとんどありません。
術後の回復も開頭手術に比べると非常に早く、患者さんの体への負担が少ないのが特徴です。

また、開頭手術で行うにはリスクが高いケースでも、脳血管内治療であれば対応可能な場合もあり、脳卒中治療に新たな広がりをもたらしたとも言えます。
さらに、ここ数年の間に最新の脳血管内治療器材の保険適用も次々と承認され、脳血管内治療はどんどん進化しているのです。

開頭手術に劣らない治療成績

当院の脳血管内治療件数は年々増加傾向にあり、現在では、脳動脈瘤の手術の約50%、脳梗塞の手術では約70〜80%の割合で行われています。
脳血管内治療は開頭手術と比較しても劣らない良好な治療成績を残しており、患者さんの体への負担も考慮すると、脳血管内治療は今後ますます増えていくと予想されます。

一方で、脳血管内治療は繊細な血管内で行う治療であることから、高い技術や幅広い知識が必要であり、そうした技能を習得した経験豊富な“専門医”が在籍している施設を選ぶことも、安全・安心な治療を受ける上では重要なポイントとなります。

開頭手術と脳血管内治療、それぞれにあるメリット・デメリット

草野部長

脳の治療は、開頭手術と脳血管内治療の両方が選択可能な施設で受けることをお勧めします!


すべての治療に対して脳血管内治療を適応することが良いということではありません。
また、開頭手術(外科手術)だけにデメリットがあるわけでもありません。両者にはそれぞれ一長一短があり、病変や患者さんの状態によっても、適応する治療法は変わってきます。
ですから、脳卒中治療で大切なのは、開頭手術と脳血管内治療、どちらも対応できる医療機関で治療を受けることです。

メリット・デメリット

関連リンク

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治療方法について

脳血管内治療の方法


コイル塞栓術 頸動脈ステント留置術 血栓回収療法

コイル塞栓術

破裂する危険がある脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤)の中にコイルを詰めて、 血液の流入をなくしてしまうことで破裂(くも膜下出血)を防ぎます。
また、破裂してくも膜下出血を起こした脳動脈瘤(破裂脳動脈瘤)にも適応します。

脳動脈瘤とは

脳動脈瘤とは?


脳血管が枝分かれする部分の血管の壁が風船のように膨らんでコブを作ることがあります。これを「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」と呼びます。
脳動脈瘤の壁は膨れ上がったことで薄く弱くなっており、破裂して大出血(くも膜下出血)を起こしてしまう可能性が高くなります。

1 カテーテルを血管内に挿入し、脳内の病変部に到達させる
カテーテル
  1. まず、足の付け根部分に局所麻酔をして、そこから大腿動脈へ直径3o程度のカテーテルを挿入します。
  2. カテーテルは体の中心部分の大動脈を通り、さらに首の内頸動脈まで押し進めます。
  3. ここからは直径1o以下のマイクロカテーテルを使い、病変部へ到達させます。
 


2 コイルを脳動脈瘤に挿入
コイル
マイクロカテーテルを通してコイルを脳動脈瘤の内部へ送り込みます。


3 コイルの詰め物で脳動脈瘤を塞ぐ
コイルの詰め物
何本かのコイルを挿入して、互いに絡ませることで、脳動脈瘤の内部をコイルで完全に満たします。 


バルーンとステント
動脈瘤の形によっては、挿入したコイルが血管に出てきてしまうことがあります。
風船の付いたカテーテルで動脈瘤の入り口を一時的に塞いだり、ステントという金属の筒を動脈瘤の入り口に置くことで、安定してコイルを挿入することができます。


4 処置を確認
確認
造影剤を投与して、血液が脳動脈瘤内に入り込まないことが確認できたら完了です。


Q


どうして足の付け根からカテーテルを通すの?


足の付け根の動脈(大腿動脈)は、動脈の中でも太く、また表皮に近い場所を通る血管であることから、カテーテルを挿入するのに最も適した場所の一つと言えます。
さらに、足の付け根から頭部までの動脈の流れはほぼ直線で、カテーテルを通す動線として安定しており安全であることも大きな利点です。

頸動脈ステント留置術

血栓や動脈硬化によって細くなってしまった脳血管を内側から広げます。

1 カテーテルを血管内に挿入し、脳内の病変部に到達させる
カテーテル
  1. まず、足の付け根部分に局所麻酔をして、そこから大腿動脈へ直径3o程度のカテーテルを挿入します。
  2. カテーテルは体の中心部分の大動脈を通り、さらに首の内頸動脈まで押し進めます。
  3. ここからは直径1o以下のマイクロカテーテルを使い、病変部へ到達させます。
 


2 血栓を一時的にブロック
フィルター
まず、動脈硬化の原因物質である「プラーク」を内側から押しつぶします。
この際、少なからず破片が出る可能性がありますが、これらが流れてしまわないよう、狭窄部分より先の下流にカテーテルを通しておいて、フィルターや風船を広げて破片をブロックします。
これにより、破片が脳内に流れていき脳梗塞を引き起こしてしまうことを防ぎます。


3 狭窄部分を少し広げる
バルーン
血管よりも細めの風船が付いたバルーンカテーテルを通して、狭窄部分を軽く広げておきます。 


4 ステントを留置し、押し広げて固定
ステント
そこへステントを狭窄部分を覆うように留置します。
ステントの内側から再びバルーンを膨らませ、ステントが血管内で固定されるように 押し広げます。


5 血管の拡張を確認
血管拡張
血管が拡張されたことを確認したら、フィルターやバルーンを回収して完了です。


IVUS

県内の他の病院に先駆けて使用!
血管内超音波診断(エコー)装置「IVUS」

プラークには、破片が飛びやすいものとそうでないものとがあります。
手術中に脳梗塞を引き起こす危険性があることから、血管内治療においてプラークの性質を観察することは非常に重要となります。
MRIや頸動脈エコーなどでプラークを観察することを「プラークイメージング」と呼び、当院ではすべての頸動脈ステント留置術の対象患者さんに対し、術前にこの検査を実施しています。
また、手術中においてもプラークの性質をより正確に把握するため、「IVUS(アイバス)」という血管内超音波診断(エコー)装置を使用しております。

急性期脳主幹動脈再開通療法

脳梗塞治療では1分でも早く血管を再開通させることが、後遺症を少なくするために最も大切なことです。
そのため、脳梗塞を疑う症状が出た場合には、直ぐに血栓回収療法ができる病院を受診してください。
太い血管が詰まった症例では、tPA単独で治療するよりtPAに血栓回収療法を追加した方が、後遺症が少ないと報告されています。
当院でのステント型血栓回収デバイスを使用した血栓回収療法では、部分再開通も含めると約90%の高い再開通率が得られています。

1 カテーテルを血管内に挿入し、脳内の病変部に到達させる
カテーテル
  1. まず、足の付け根部分に局所麻酔をして、そこから大腿動脈へ直径3o程度のカテーテルを挿入します。
  2. カテーテルは体の中心部分の大動脈を通り、さらに首の内頸動脈まで押し進めます。
  3. ここからは直径1o以下のマイクロカテーテルを使い、病変部へ到達させます。


2 血栓回収デバイスを誘導
「血栓回収デバイス」をマイクロカテーテルの中を通して閉塞部まで誘導します。
血栓回収デバイス


3 血栓を回収して確認
血栓開通
血栓を回収し、血流の開通が確認できたら完了です。 


それでも血流が開通しない場合は?

  • 別の医療機器を使う
    複数回試みても開通しない場合には、バルーンカテーテルを用いて血栓の粉砕を試みることがあります。(頸動脈ステント留置術)
  • 血栓を溶かす薬を注入する「血栓溶解剤(ウロキナーゼ)」という薬をマイクロカテー テルから直接閉塞部に注入して血栓を溶解することも検討されます。
    (ただし、「rt-PA静脈療法」を行っていない場合に限る)
※患者さんの状態により、治療の適応は異なります。
rt-PA

発症後4.5時間以内の超急性期脳梗塞に適応となる
「rt-PA静脈療法」

日本では、発症4.5時間以内の超急性期脳梗塞に対しては、「rt-PA(アルテプラーゼ)」という薬を点滴で静脈投与して血栓を溶解する治療が第一選択になっています。
しかし、効果が不十分であった場合や、何らかの理由で適応とならない場合に、次の 手段として、この「急性期脳主幹動脈再開通療法」が選択されます。

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血管内治療の流れ

血管内治療(コイル塞栓術、ステント留置術)の流れ:予定手術の場合

  • 入院
    (手術前日)

    ・手術7日前から抗血小板薬を2剤内服

  • 手術当日
    (通常手術は2〜3時間)

    ・手術前に飲食の制限
    ・血管撮影室にて局所麻酔/全身麻酔での治療
    ・術後は、ICU(集中治療室)またはHCU(ハイケアユニット)に入室
    ・局所麻酔の場合は、夕食から食事が可能

  • 翌朝(または術後6時間)までベッド上での安静

    ・午前中にCTスキャン、レントゲン撮影
    ・看護師と一緒に、立ち上がりや歩行の確認
    ・一般病室へ移動

  • 退院
    (術後4〜7日目が一般的)

    ・数日間は自宅療養
    ・約2週間で外来診察
    ・1〜3ヶ月は抗血小板薬を内服
    ・3ヶ月、1年後にMRI、頸動脈エコー、血管撮影検査など

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当院における脳卒中治療

SCUについて


当院は脳卒中専門の集中治療室である「SCU(脳卒中ケアユニット)」を2011年10月に北信地域で初めて開設しました。
脳卒中専門医の資格を持つ神経内科医や脳神経外科医をはじめ、専門のスタッフが24時間体制で脳卒中治療にあたっています。

脳卒中治療は時間との勝負!

脳卒中は、発症からどれだけ速やかに治療を受けられるかによって、その後を大きく左右します。
時間が経てば経つほど脳細胞の壊死が進み、重度の後遺症を残してしまったり、最悪の場合には死に至ります。

こんな症状が出たら一刻も早く救急車を!

□ 頭痛(バッドで殴られたような激しい頭痛、1週間以上続く頭痛)
□ めまい
□ 吐き気、嘔吐(頭痛を伴う)
□ 痙攣性発作
□ 意識障害(意識がない、朦朧とする、反応が鈍くなる など)
□ 片側麻痺(片側の顔がゆがむ、片側の手足が動かしにくい など)
□ ろれつが回らなくなる
□ バランス感覚がおかしい

※これらの症状は数分〜数時間で消えることがあります。
これは「一過性脳虚血発作(TIA)」と言って、本格的な脳梗塞の前触れとされていますので、すぐに医療機関を受診してください。

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診療スタッフ

草野 義和(くさの よしかず)

平成9年卒

役 職 院長補佐
脳血管内治療科部長
脳神経外科科長
脳卒中センター長
資 格 日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会脳卒中専門医
信州大学医学部臨床教授
専門分野 脳血管障害、脳血管内治療、脳神経外科

兒玉 邦彦 (こだま くにひこ)

平成13年卒

役 職 脳血管内治療科科長
脳神経外科部長
脳卒中センター科長
資 格 日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会脳卒中専門医
日本脳卒中の外科学会技術指導医
日本神経内視鏡学会技術認定医(神経内視鏡)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • International Society of Intraoperative Neurophysiologyアジア代表理事
  • World Federation of Neurosurgical Societies(WFNS, 世界脳神経外科学会連盟) Intraoperative Neuromonitoring Committee(術中神経モニタリング委員会)委員
専門分野 脳腫瘍、脳血管障害、脳神経外科、神経生理学的モニタリング

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外来診療日

脳神経外科/脳血管内治療科 共通

平成30年9月1日更新

○:初・再診  ●:再診

医師名 備考
草野 義和 ○交替制 ○交替制 -
兒玉 邦彦   ○交替制 ○交替制  
竹前 紀樹 水曜日は第1・3・5週のみ

※ 火・水曜日の初診は脳神経外科医師

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治療実績

主な対象疾患

  1. 脳動脈瘤
  2. 内頚動脈狭窄症
  3. 急性期脳梗塞
  4. 硬膜動静脈瘻
  5. 脳動静脈奇形
  6. 脳腫瘍(髄膜腫など)

臨床統計

平成25〜7年 脳血管内治療科 臨床統計
  H25 H26 H27
脳血管内治療 総数 48 67 80
脳動脈瘤 合計 21 28 27
 破裂脳動脈瘤 12 18 10
 未破裂脳動脈瘤 9 10 17
閉塞性脳血管障害 合計 17 35 43
 内ステント使用例 12 16 17
脳腫瘍塞栓術 4 2 2
硬膜動静脈瘻 4 1 1
動静脈奇形 1 1 1
その他 1 1 6