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乳腺外科

当科の特徴および診療内容

乳がんの治療法について

乳がん治療は手術前後に、個々のタイプ(サブタイプ:エストロゲンレセプターの陽・陰性、HER2の陽、陰性の組み合わせで決めます)に合った薬物療法(化学=抗がん剤、内分泌=ホルモン剤、分子標的剤)を選択し、さらに放射線療法が望まれる場合には追加することが基本と考えられています。

手術

手術法は乳房切除術と乳房温存術に分けられます。
乳房温存術は、乳房そのものの大きさに左右されますが、しこりの大きさが3cm以下で、乳頭から2cm以上離れているのが理想的です。
また、手術前に化学療法を行って縮小させてから行うこともあります。

乳房再建

乳房再建は形成外科に依頼しています。
乳房切除と同時に行う一次再建は、当院ではお腹の脂肪と筋肉(腹直筋皮弁)を用いる自家組織による再建が多く、術後6日間の床上安静が必要になり、入院期間は通常の乳房切除と比較して長くなります。
4年前から保険適応になった人工物(インプラント)による再建は、乳房切除の際に筋肉(大胸筋)の下に拡張器を挿入して徐々に広げ、約半年後の再手術でインプラントを挿入します。
再建法は、本人と形成外科医との話し合いの上で決定しています。
また、乳房切除後数年してから行う二次再建も可能です。

腋窩リンパ節

腋(腋窩)は、リンパ節転移がある場合を除いて、蛍光法(赤外観察カメラでリンパの流れを観察してリンパ節を探る方法)によるセンチネルリンパ節生検を行います。
術中の検査で転移が認められた場合にはリンパ節郭清に変更しますが、転移がセンチネルリンパ節だけにとどまっている可能性が高い(微小転移)場合には、近傍のリンパ節を数コ取るだけにとどめて郭清を避けます。
郭清が避けられれば入院期間が短縮し、後遺症のリンパ浮腫の発生がほぼ避けられます。
平成26〜28年の3年間に425人に行い、359人(84%)は郭清を行わずセンチネルリンパ節生検のみですみました。

放射線療法

乳房温存術後には手術した乳房に、25〜30日(5〜6週)間の照射を行います。放射線科医の定期的な診察の下で安全に実施されています。乳房切除術の場合でもリンパ節転移があった場合には、切除した部位(胸壁)への照射が推奨されています。
さらに手術法に関係なく、リンパ節転移があった場合には鎖骨上(頸)への照射も併せて行うことが推奨されています。
原則として外来通院で行っています。
副作用として放射線皮膚炎があり、時に色素沈着、発汗減少、皮膚乾燥による痒みが残ります。
放射線肺炎は約3%に発生し、治療終了後数ヵ月〜1年に持続する咳で発見され、呼吸器内科に治療を依頼しています。

薬物療法

化学療法、分子標的療法、注射剤を用いた内分泌療法は外来化学療法センターで行います。
がん専門薬剤師、がん化学療法看護認定看護師、さらに乳がん看護認定看護師が中心になって、より安全に薬物療法が実施できるよう努めています。
通院治療が困難な場合や、副作用が強い場合には入院して行うこともあります。

治療を受ける際のポイント

治療法に関してはできるだけ希望に添うよう努めています。
乳がんと告知されたら、納得のいく説明や治療を受けてください。
セカンドオピニオンは遠慮なく申し出てください。
また、不安や悩みは尽きないものです。
相談支援センターを利用し精神的な苦痛を和らげることも可能です。
そこでは就労に関するサポートも行っています。
独りで悩まずに、周囲の助けも借りながら、前向きに治療に臨むことが大切です。

病診連携パスの推進

当院とかかりつけ医との間で、あらかじめ数年先までの診療方法を定めた計画書に沿って治療を行う病診連携パスを積極的に推進しています。
主に内分泌療法を行う場合で、普段はかかりつけ医に通院し、1年に1回は当院を受診していただきます。
平成23年から始めて、平成28年までに110人に導入しました。

乳がんの治療成績について

最近10年間の年別手術数

最近10年間の新たに治療を開始した年別患者数をグラフに示します。
高齢あるいは遠隔転移のために手術を行わなかった場合は「薬物療法のみ」に含まれます。

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手術法で見ると、平成26年までは乳房温存術の方が乳房切除術より多かったのですが、最近は乳房切除術を希望される人が増えています。
また一次乳房再建を行う人も年々増加しています。
なお、両側を同時に手術した人もいるので、上のグラフよりも総数は多くなります。

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生存率

標準的な化学療法を始めた平成13年から、術後5年以上経過した平成23年までの11年間に手術を行った880人(転居などで消息不明は6人で、追跡率99.3%)について5年実生存率と無再発生存率を計算しました。

UICC病期 人数 5年実生存率 5年無再発生存率
0 期 62人 96.8% 90.3%
I A 期 295人 95.9% 94.2%
I B 期 5人 100.0% 100.0%
II A 期 229人 94.8% 88.6%
II B 期 127人 91.3% 85.0%
III A 期 94人 72.1% 75.5%
III B 期 4人 100.0% 100.0%
III C 期 51人 62.7% 39.2%
IV 期 8人 62.5% -

術後2年以上経過した平成26年までに行われた乳房温存術818人中、残した乳房内の再発もしくは新たな乳がん発生(多発がん)は25人(3.1%)いました。
そのうち5人が亡くなりましたが、再発が原因で死に至った人は1人だけです。
乳房温存術を受けた場合に残った乳房に再発する可能性は数%ありますが、それが原因で生命が脅かされることはまれと考えます。


手術後の入院日数

平成26〜28年の術後の入院日数を示します。
一次乳房再建以外はほとんどの人が1週間以内で退院し、センチネルリンパ節生検だけで済んだ乳房温存術では術後3〜4日で退院できます。

手術法腋窩リンパ節人数平均入院期間
乳房温存手術 センチネルリンパ節生検 184人 3.2日 2〜7日
リンパ節郭清 48人 5.9日 4〜8日
乳房切除術 センチネルリンパ節生検 108人 5.4日 3〜7日
リンパ節郭清 57人 7.1日 5〜16日
一次乳房再建手術 65人 14.8日 11〜23日

術後の合併症として、平成26〜28年の3年間に行った手術506人(乳房)中、一次再建を行った65人を除く441人で見ると、出血による再手術が2人(0.5%)、血腫、熱傷、感染などの創部に関する合併症が25人(5.7%)いました。
退院後に漿液腫(創部に液が貯留して瘤状になる状態)で穿刺をしたのが67人(15.2%)ありました。
生命を脅かす重篤な合併症はありませんでした。

検診・人間ドックで発見される乳がん

次に示すグラフのように、検診や人間ドックのマンモグラフィあるいは超音波検査で発見される人が年々増えています。
このような画像検査で発見される場合には早期がん(0、I 期)の比率が高く、早期がんは先に記したように再発率が低く治癒が期待できます。
平成24〜28年の5年間に自覚症状がなく検診もしくはドックでの画像検査で発見されたのは177人、しこりなどに気付いて受診し発見されたのは449人いました。
このうち、早期がんはそれぞれ144人(77%)、204人(43%)でした。

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甲状腺外科

外来では甲状腺腫瘍の診察や治療を主体に行っています。

手術の多くは甲状腺がんが対象で、良性の甲状腺腫瘍は原則として手術を行いませんが、がんとの鑑別が困難な場合や、大きくて美容的にも問題がある場合には手術を行います。
手術の前日に入院し、手術後5日で退院する人がほとんどなので、入院期間は1週間です。

副甲状腺疾患は、健診で高カルシウム血症を指摘された原発性副甲状腺機能亢進症に対するものがほとんどです。

平成19年〜28年の10年間に、甲状腺がん81人、良性甲状腺疾患34人、副甲状腺疾患33人に手術を行いました。

平成29年2月5日改訂
文責:乳腺外科部長 西村 秀紀

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診療スタッフ

西村、小沢医師が主に担当しています。

西村 秀紀(にしむら ひでき)

昭和60年卒

役 職 院長補佐
乳腺外科部長
呼吸器外科部長
緩和ケア内科部長
がん治療センター長
がん相談支援センター長
資 格 日本外科学会指導医・認定医
日本乳癌学会乳腺指導医・専門医
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
検診マンモグラフィ読影認定医B評価
乳房超音波検診講習会試験A判定
信州大学医学部臨床教授
専門分野 乳腺、呼吸器、甲状腺

小沢 恵介 (おざわ けいすけ)

平成6年卒

役 職 乳腺外科科長
呼吸器外科科長
資 格 日本外科学会専門医
日本乳癌学会乳腺指導医・専門医
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 乳房再建用エキスパンダー/インプラント基準医師・責任医師
検診マンモグラフィ読影認定医A評価
専門分野 乳腺

砥石 政幸 (といし まさゆき)

平成9年卒

役 職 呼吸器外科科長
乳腺外科科長
資 格 日本外科学会指導医・専門医
日本がん治療認定医機構暫定教育医・がん治療認定医
専門分野 呼吸器

境澤 隆夫 (さかいざわ たかお)

平成15年卒

役 職 乳腺外科科長
呼吸器外科科長
資 格 日本外科学会専門医
専門分野 呼吸器

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外来診療日

平成28年11月1日更新

○:初・再診  ●:再診

医師名 備考
西村 秀紀      
小沢 恵介     交替制  
砥石 政幸     交替制  
境澤 隆夫     交替制  

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治療実績

主な対象疾患

乳がんを中心に乳腺疾患の治療、甲状腺疾患 ほか