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呼吸器外科

当科の特徴および診療内容

特色

肺がんを中心に呼吸器疾患の外科的治療を取り扱い、日本呼吸器外科学会の認定施設(呼吸器外科専門医認定修練施設の基幹施設)に認定されています。
多くの手術に胸腔鏡下手術(以下VATS)を導入し、早期退院を目指しています。

診療内容

呼吸器外科は、心臓、大血管、食道領域を除く胸部疾患に対する手術を扱い、原発性あるいは転移性肺腫瘍、自然気胸、縦隔腫瘍などが主な対象疾患です。
対象となる患者さんを最初から担当することは少なく、呼吸器内科もしくは該当科で検査が行われ、手術が必要な場合に当科へ紹介されます。
手掌多汗症の手術も行っています。

肺がん手術について

原発性肺がんは呼吸器内科で検査を行い、I、II期は手術を優先し、III期以上の進行がんでは内科での治療を優先します。
治療法は呼吸器内科、放射線科との合同カンファレンスで決定しています。

肺がんの標準的な手術法(術式)は肺葉切除術およびリンパ節郭清ですが、すりガラス様陰影が主体などの悪性度が低い病変に対しては、部分切除術や区域切除術も考慮し可能な限り負担の軽減を図っています。

最近は背中まで切開して肋骨を切るような開胸法は減少し、VATSが標準手術になりました。
麻酔科の協力で、背骨の後ろから細いチューブを入れる硬膜外麻酔を行うと術後の痛みは少なく、手術翌日から歩行を始めます。
3〜5日でドレーン(胸の中につながる管)が抜け、その翌日に硬膜外麻酔が終了するとシャワーを浴びることができます。
そして、術後1週間で退院することが多くなりました。

自然気胸の治療について

自然気胸は、肺の虚脱の程度(縮み具合)によって、安静もしくは胸腔ドレナージを選択します。
ドレナージとはドレーンを挿入し、縮んだ肺を広げることをいいます。
出血を伴わない場合には、ドレナージをしても入院せずに外来通院で経過を見ます。
ドレナージ後に1週以上過ぎてもドレーンが抜けない場合や、再発を繰り返す場合には手術の適応です。
また、出血を伴う場合には緊急手術の対象になります。
なお、10歳代ではドレナージだけで治癒しても再発することが極めて高いので、手術をお勧めします。
手術はVATSで行い、早ければ術後2日目に、多くは3〜4日目に退院が可能です。

手術数

最近10年間の手術数は1,293例で、年別の疾患別手術数を下図に示します。

最近10年間の年別の疾患別手術数

疾患別では、原発性肺がんが698例(全体の54.0%)と最も多く、自然および続発性気胸227例、転移性肺腫瘍135例、縦隔腫瘍64例などとなっています。

VATSは、強度の癒着などのために途中で開胸に変更したものを除くと964例(手術全体の74.6%)に行われました。

原発性肺がんの手術成績について

平成20〜29年の10年間の692人の開胸法と術式を示します。
VATSが主体になり、術式では主に悪性度が低い病変に対して負担の軽減を目的とした縮小手術(部分切除及び区域切除術)が約25%を占めるようになりました。

原発性肺がんの最近10年間の手術数(開胸法)
原発性肺がんの最近10年間の手術数(術式)

平成15〜24年の10年間に行った444例(消息不明は3例で追跡率99.3%)について病期別の実生存率を下に示します。

病理病期人数5年生存率
I A 期 226人 87.5%
I B 期 90人 77.5%
II A 期 48人 50.0%
II B 期 18人 44.4%
III A 期 47人 38.3%
III B 期 3人 0.0%
IV 期 12人 8.3%

平成27年〜29年の3年間に手術を行った245人の術後入院期間は平均9.0日(3〜224日)でした。
VATS肺葉切除あるいは区域切除の181人で見ると平均9.3日で、78人(43%)は7日以内に、170人(94%)は10日以内に退院しています。

この間の術後合併症は、頻脈が9人、膿胸が4人、肺炎、無気肺が各3人、乳び胸が3人(脂肪制限食で改善2人、胸管結紮術が1人)、譫妄が3人、肺瘻(2週以上ドレーンが抜けない)と遅発性の気胸が各2人、心不全が2人、創離開と腸閉塞が各1人いましたが、肺炎の1人を除いて軽快して退院しました。
また、退院までに7ヵ月半を要した成人呼吸促迫症候群(ARDS)の方が1人、3ヵ月を要した呼吸不全の方が1人いました。30日以内に死亡する術死は1人(0.5%)あり、肺炎から敗血症を来し17日で死亡されました。

肺切除を行っても日常の生活に支障を来すことは極めて少なく、手術前と同等の生活を送れます。
ただし、喫煙が原因の閉塞性肺疾患(COPD)を有する場合には在宅酸素療法が必要になることもあり、この3年間では4人が対象になりました。

平成30年1月20日改訂
文責:呼吸器外科副部長 砥石 政幸

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全国肺癌登録調査について

当院では、患者さんにより良い医療を提供するため『肺癌登録合同委員会』による「全国肺癌登録調査研究事業」へ参加しております。
この事業は、全国の原発性肺がんに対する手術症例を解析し、その結果をもとに最新の肺がん治療成績の把握や、今後のがん診療に活かしていくことを目的としています。

現在は肺癌登録合同委員会 第9次事業に登録し、全国および国際共同研究に貢献する予定です。
研究計画書は、事務局である大阪大学 呼吸器外科学のホームページにも掲載されていますので、必要な場合はご確認ください。

個人情報の管理は厳重にしております。
ただし、事業と研究への参加を拒否される場合はご連絡ください。
拒否の申し出のある患者さんの診療情報の登録はいたしません。

ご理解、ご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。

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診療スタッフ

砥石、境澤医師が主に担当しています。

西村 秀紀(にしむら ひでき)

昭和60年卒

役 職 副院長
呼吸器外科部長
乳腺外科部長
緩和ケア内科部長
心臓血管外科部長
がんセンター長・がん相談支援センター長・緩和ケアセンター長
心臓血管センター長
資 格 日本外科学会指導医・専門医・認定医
日本呼吸器外科学会指導医・呼吸器外科専門医
日本胸部外科学会認定医
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
信州大学医学部臨床教授
専門分野 呼吸器、乳腺、甲状腺

砥石 政幸 (といし まさゆき)

平成9年卒

役 職 呼吸器外科副部長
乳腺外科科長
資 格 日本外科学会指導医・専門医
日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医・評議員
肺がんCT検診認定機構認定医師
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
専門分野 呼吸器

境澤 隆夫 (さかいざわ たかお)

平成15年卒

役 職 呼吸器外科科長
乳腺外科科長
資 格 日本外科学会専門医
日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医
肺がんCT検診認定機構認定医師
専門分野 呼吸器

小沢 恵介 (おざわ けいすけ)

平成6年卒

役 職 呼吸器外科科長
乳腺外科副部長
資 格 日本外科学会専門医
日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医
日本胸部外科学会認定医
専門分野 乳腺

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外来診療日

平成30年4月1日更新

○:初・再診  ●:再診

医師名 備考
西村 秀紀      
小沢 恵介     交替制
砥石 政幸     交替制  
境澤 隆夫     交替制  

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治療実績

主な対象疾患

原発性肺がん、転移性肺がん、自然気胸、縦隔腫瘍、膿胸、手掌多汗症 ほか