脳や頸(くび)の血管の病気に対してカテーテルを使って治療を行う診療科です。
脳血管内治療は、手首や足の付け根の血管からカテーテルと呼ばれる細いチューブを脳や頚部の病変部へと到達させて治療を行います。
体に傷を創ることはなく、痛みもありませんので、患者さんの体への負担が少ないのが特徴です。術後は脳卒中の専門病棟である脳卒中ケアユニット(SCU)で集中治療を行い、早期から専任の療法士によりリハビリを行っています。
脳血管内治療科部長 草野 義和
脳や頸(くび)の血管の病気に対してカテーテルを使って治療を行っています。
脳血管内治療は、手首や足の付け根の血管からカテーテルと呼ばれる細いチューブを脳や頚部の病変部へと到達させて治療を行います。
体に傷を創ることはなく、痛みもありませんので、患者さんの体への負担が少ないのが特徴です。
2017年からは原則として手首からカテーテルを通して治療を行っており、術後の安静時間が短くすみます。
脳の動脈に瘤(コブ)ができる脳動脈瘤、動脈硬化で首の血管が細くなる頸動脈狭窄症、脳の太い血管が詰まって起こる急性期脳梗塞、脳の動脈と静脈に異常が起きて生じる脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻(こうまくどうじょうみゃくろう)などに対して治療を行っています。
脳動脈瘤に対するコイル塞栓術を多く治療しており、他院で治療が難しいとされた脳動脈瘤に対してもステントという金属の筒を使うことで、良好な成績が得られています。
脳の太い血管が血栓によって詰まる脳梗塞は、1分でも早く血栓を取り除き再開通させることで後遺症を無くす(軽くする)ことができるため、病院全体で時間短縮に取り組んでいます。
また、術後は脳卒中の専門病棟である脳卒中ケアユニット(SCU)で集中治療を行い、早期から専任の療法士によりリハビリを行っています。
その結果、3か月後には約半数の患者さんが自宅で自立した生活が送れるようになっています。
治療は、脳血管内治療専門医、脳卒中専門医が行い、血管内治療の実績も豊富です。
脳動脈瘤に対するコイル塞栓術
破裂する危険がある脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤)の中にコイルを詰めて、 血液の流入をなくしてしまうことで破裂(くも膜下出血)を防ぎます。
また、破裂してくも膜下出血を起こした脳動脈瘤(破裂脳動脈瘤)にも適応します。
脳血管が枝分かれする部分の血管の壁が風船のように膨らんでコブを作ることがあります。これを「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」と呼びます。
脳動脈瘤の壁は膨れ上がったことで薄く弱くなっており、破裂して大出血(くも膜下出血)を起こしてしまう可能性が高くなります。
直径1~3mm程の医療用の細い管。中は空洞になっており、コイルなどを通します。
マイクロカテーテルを通してコイルを脳動脈瘤の内部へ送り込みます。
プラチナ製の極めて細くやわらかな管。均一な形に巻くことができ、何度でも入れなおすことができます。
何本かのコイルを挿入して、互いに絡ませることで、脳動脈瘤の内部をコイルで完全に満たします。
動脈瘤の形によっては、挿入したコイルが血管に出てきてしまうことがあります。
風船の付いたカテーテルで動脈瘤の入り口を一時的に塞いだり、ステントという金属の筒を動脈瘤の入り口に置くことで、安定してコイルを挿入することができます。
造影剤を投与して、血液が脳動脈瘤内に入り込まないことが確認できたら完了です。
足の付け根の動脈(大腿動脈)は、動脈の中でも太く、また表皮に近い場所を通る血管であることから、カテーテルを挿入するのに最も適した場所の一つと言えます。
さらに、足の付根から頭部までの動脈の流れはほぼ直線で、カテーテルを通す動線として安定しており安全であることも大きな利点です。
アテローム血栓性梗塞に対する頸動脈ステント留置術
血栓や動脈硬化によって細くなってしまった脳血管を内側から広げます。
直径1~3mm程の医療用の細い管。中は空洞になっており、コイルなどを通します。
まず、動脈硬化の原因物質である「プラーク」を内側から押しつぶします。
この際、少なからず破片が出る可能性がありますが、これらが流れてしまわないよう、狭窄部分より先の下流にカテーテルを通しておいて、フィルターや風船を広げて破片をブロックします。
これにより、破片が脳内に流れていき脳梗塞を引き起こしてしまうことを防ぎます。
プラークの破片を堰き止めるための傘状の袋。
血管よりも細めの風船が付いたバルーンカテーテルを通して、狭窄部分を軽く広げておきます。
そこへステントを狭窄部分を覆うように留置します。
ステントの内側から再びバルーンを膨らませ、ステントが血管内で固定されるように 押し広げます。
金属製の網目状の筒。狭窄部に到達するまでは閉じていて、留置する際には開くしくみになっています。
血管が拡張されたことを確認したら、フィルターやバルーンを回収して完了です。
プラークには、破片が飛びやすいものとそうでないものとがあります。
手術中に脳梗塞を引き起こす危険性があることから、血管内治療においてプラークの性質を観察することは非常に重要となります。
MRIや頸動脈エコーなどでプラークを観察することを「プラークイメージング」と呼び、当院ではすべての頸動脈ステント留置術の対象患者さんに対し、術前にこの検査を実施しています。
また、手術中においてもプラークの性質をより正確に把握するため、「IVUS(アイバス)」という血管内超音波診断(エコー)装置を使用しています。
心原性脳塞栓症に対する血栓回収療法
脳梗塞治療では1分でも早く血管を再開通させることが、後遺症を少なくするために最も大切なことです。
そのため、脳梗塞を疑う症状が出た場合には、直ぐに血栓回収療法ができる病院を受診してください。
太い血管が詰まった症例では、tPA単独で治療するよりtPAに血栓回収療法を追加した方が、後遺症が少ないと報告されています。
直径1~3mm程の医療用の細い管。中は空洞になっており、コイルなどを通します。
「血栓回収デバイス」をマイクロカテーテルの中を通して閉塞部まで誘導します。
血栓を回収するための医療機器。これまでに色々な形のものが開発されています。
2011年保険適用。血栓を吸い取って取り除きます。
2014年7月保険適用。血栓を覆い、網目でからめて取り除きます。
再開通率、生存率がそれまでのものと比較して高いという研究報告があります。
血栓を回収し、血流の開通が確認できたら完了です。
※患者さんの状態により、治療の適応は異なります。
日本では、発症4.5時間以内の超急性期脳梗塞に対しては、「rt-PA(アルテプラーゼ)」という薬を点滴で静脈投与して血栓を溶解する治療が第一選択になっています。
しかし、効果が不十分であった場合や、何らかの理由で適応とならない場合に、次の手段として、この「急性期脳主幹動脈再開通療法」が選択されます。
脳ドックや他の病院で脳動脈瘤や頸動脈狭窄症などが見つかり、外科的な治療を勧められた患者さんへの治療相談も行っています。
傷を創らずに治療することができる場合がありますので、ご本人やご家族でお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
お問い合わせ先 |
予約センター TEL:026-295-1149(予約専用電話) |
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※脳神経外科への受診の相談とお申し付けください
1997年卒
役職 | 副院長 |
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資格 | 日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医 |
専門分野 | 脳血管障害、脳血管内治療、脳神経外科 |
2000年卒
役職 | 脳血管内治療科科長 |
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資格 | 日本脳神経血管内治療学会 脳血栓回収療法実施医 |
専門分野 | 脳神経外科 |
2018年卒
役職 | 脳血管内治療科医長 |
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専門分野 | 脳神経外科 |
2024/09/05 更新
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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草野 義和 ○茂原 知弥 |
○脳神経外科医師 | ○脳神経外科医師 | ○草野 義和 交代制(茂原 知弥・非常勤医師) |
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