脳動脈瘤に対するコイル塞栓術(そくせんじゅつ)
破裂する危険がある脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤)の中にコイルを詰めて、 血液の流入をなくしてしまうことで破裂(くも膜下出血)を防ぎます。
また、破裂してくも膜下出血を起こした脳動脈瘤(破裂脳動脈瘤)にも適応します。

脳動脈瘤とは?
脳血管が枝分かれする部分の血管の壁が風船のように膨らんでコブを作ることがあります。これを「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」と呼びます。
脳動脈瘤の壁は膨れ上がったことで薄く弱くなっており、破裂して大出血(くも膜下出血)を起こしてしまう可能性が高くなります。
1 カテーテルを血管内に挿入し、脳内の病変部に到達させる

- 1.まず、足の付け根部分に局所麻酔をして、そこから大腿動脈へ直径3㎜程度のカテーテルを挿入します。
- 2.カテーテルは体の中心部分の大動脈を通り、さらに首の内頸動脈まで押し進めます。
- 3.ここからは直径1㎜以下のマイクロカテーテルを使い、病変部へ到達させます。
2 コイルを脳動脈瘤に挿入

マイクロカテーテルを通してコイルを脳動脈瘤の内部へ送り込みます。
3 コイルの詰め物で脳動脈瘤を塞ぐ


何本かのコイルを挿入して、互いに絡ませることで、脳動脈瘤の内部をコイルで完全に満たします。
動脈瘤の形によっては、挿入したコイルが血管に出てきてしまうことがあります。
風船の付いたカテーテルで動脈瘤の入り口を一時的に塞いだり、ステントという金属の筒を動脈瘤の入り口に置くことで、安定してコイルを挿入することができます。
4 処置を確認

造影剤を投与して、血液が脳動脈瘤内に入り込まないことが確認できたら完了です。
Q. どうして足の付け根からカテーテルを通すの?
足の付け根の動脈(大腿動脈)は、動脈の中でも太く、また表皮に近い場所を通る血管であることから、カテーテルを挿入するのに最も適した場所の一つと言えます。
さらに、足の付け根から頭部までの動脈の流れはほぼ直線で、カテーテルを通す動線として安定しており安全であることも大きな利点です。