主な疾患と診療内容

緩和ケア内科は2009年4月よりスタートした科です。身体症状緩和担当医と精神症状緩和担当医が単独または共同で診療を行います。
皆さまは『緩和ケア』のことをご存知でしょうか?多くの人にとって耳慣れない言葉です。
世界保健機関(WHO)は、下記のように2002年に定義しています。
『緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して的確な評価を行ない、それが障害とならないように予防したり、対処することで、生活の質(クオリティ・オブ・ライフ:QOL)を改善するアプローチである』
日本で緩和ケアの対象となるのは、ほとんどの場合、がんの患者さんです。私たちは世界保健機関の定義を基本とし、がんの患者さん一人一人のご病状、お気持ちやお考え、ご家族とのつながりなどに総合的に配慮しながら、生活の質の改善をめざします。
緩和ケア内科の主な目的は、がんによる「痛み」、「息苦しさ」、「吐き気」などのからだの辛さや、「眠れないこと」、「気力が湧いてこないこと」、「がんと告げられたときのショック」などのこころの辛さをやわらげることです。そのために、身体症状緩和担当医または精神症状緩和担当医が専門的な知識と豊富な経験に基づきながら、丁寧な面談を行い、きめ細かなお薬の調整(最適化)を実施します。
患者さんにとって、治療の面で最も頼りになる医療者といえば主治医です。私たちは、主治医と協力したり主治医を支援しながら緩和ケアを実施します。患者さんは、主治医が変わることなく、主治医によるがん治療と私たちによる緩和ケアを並行して受けることができます。両者が並行して実施される形態は、『パラレルケア』と呼ばれます(図 緩和ケアの時期 参照)。

また、患者さんにとって、最も身近な医療者といえば看護師ですし、お薬の疑問は薬剤師にきくと良いでしょう。私たちは、看護師や薬剤師などから得られる情報を最大限に活用し、私たちの緩和ケアの方針や主治医の治療の方針の参考にします。患者さんやご家族は、ご自身のお気持ちやお考えを医師に伝えやすくなることでしょう。緩和ケアを受けることにより痛みなどの辛さを最小限に抑えることは、化学療法などのがん治療の際に体力を低下させないために、本当に大切です。
早期から緩和ケアを始めれば、がんによる痛みを取り除くことはそれほど困難なことではありません。痛みであれ、睡眠不足であれ、 からだ や こころ や 生活 に「気になること」があれば、お気軽にご相談ください。
主な対象疾患名
- ・緩和ケア
身体症状緩和担当医、精神症状緩和担当医による専門性に基づいたケア
※緩和ケア
がんによる「痛み」、「息苦しさ」、「吐き気」などのからだの辛さや、「眠れないこと」、「気力が湧いてこないこと」、「がんと告げられたときのショック」など、こころの辛さをやわらげることを目的としたケア。
受診について
- ・当院に通院中の方
当院の主治医にご相談ください。 - ・当院以外の医療機関にかかられている方
主治医にご相談いただき、主治医から当院の地域医療連携室にご紹介いただくことになります。