
閉塞性動脈硬化症(ASO)とは?
主に、下肢(足)の血管の動脈硬化が進み、血管が詰まる(閉塞する)ことでさまざまな障害を引き起こす病気です。
とくに高齢の男性に多いとされ、脳梗塞や心筋梗塞と同じように、最悪の場合には細胞が壊死してしまいます。

重症度と症状
- ・1度 しびれ・冷感
ほとんど症状がないことも。 - ・2度 間歇性跛行(かんけつせいはこう)
歩くと足が痛くなったり重だるくなる。
休憩すると再び歩けるようになる。 - ・3度 安静時疼痛
安静にしても足が痛い。
特に夜間に症状が悪くなる。 - ・4度 潰瘍(かいよう)・壊疽(えそ)
血流の低下により足が壊死し、切断が差し迫った状態。
閉塞性動脈硬化症の患者さんは75歳以上の高齢者が多く、身体への負担から外科的な治療を受けられないことも多いため、負担の少ない内科的治療として血管内治療が選択されることが増えています。
しかし、高齢になるにつれて動脈硬化の傾向がより強くなり、プラーク(プラークとは→※1)よりもさらに進行した『石灰化(石灰化とは→※2)』という状態になってしまうと、血管内治療そのものが難しいケースも数多くあります。
また、閉塞性動脈硬化症の方のおよそ50%は、心臓の冠動脈にも同時に合併症を抱えているという統計データがあり、さらには、がんや糖尿病など複数の既往症をお持ちの方も珍しくありません。
血管内治療には、こうした複合的な症状を把握し、あらゆる観点から慎重かつ精度の高い治療のアプローチを考えていくスキルが求められます。
つまり、幅広い知識と経験の積み重ねが治療の質のカギとなります。
※1) プラークとは、血管壁にコレステロールが溜まってコブ状になったもの
※2) 石灰化とは、プラークにカルシウムが沈着してさらに硬くなった状態
治療法について
1 カテーテルを血管内に挿入し、狭窄部分まで到達させる

- 1. まず、足の付け根や腕などに局所麻酔を施し、そこから動脈へガイドワイヤーやバルーンカテーテルを挿入します。
- 2. ガイドワイヤーやバルーンカテーテルを下肢動脈の狭窄部分(動脈硬化によって血管が細くなっている箇所)まで到達させます。
2 狭窄部を広げる

まず狭窄あるいは閉塞した動脈にガイドワイヤーを通過させます。
それをレールとして風船が付いたバルーンカテーテルを進めて、狭窄部分でバルーンを拡張し動脈を内側から広げます。
3 ステントを留置し、押し広げて固定

その後ステント(ステンとは→※)を病変部まで進めて、狭窄部分に留置します。
ステントの内側から再びバルーンを膨らませることで、ステントを 血管内で固定させるように押し広げます。
これを何度か繰り返し行うことでしっかりと動脈を広げます。
※)ステントとは、金属製の網目状の筒。狭窄部に到達するまでは閉じていて、留置する際に開く仕組みになっている。
4 血管の拡張を確認

血管が拡張され血流が正常に戻ったことを確認したら、バルーンを回収して完了です。