超音波検査は、低侵襲で痛みはありません。
子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、卵巣腫瘍、子宮内膜症の有無、卵胞発育状況、子宮内膜の様子がわかります。
月経2~5日目に行います。
FSH(卵胞刺激ホルモン) | 卵胞を育てるホルモンです。 |
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LH(⻩体形成ホルモン) | 排卵を起こし、⻩体を形成します。 |
E2(エストラジオール) | 卵胞の発育や子宮内膜の増殖などを評価します。 |
TSH(甲状腺刺激ホルモン) fT4(甲状腺ホルモン) |
甲状腺機能に異常がないか調べます。 流産や胎児の成⻑に影響します。 |
PRL(プロラクチン) | 乳汁の分泌を促進させるホルモンです。 排卵障害や⻩体機能不全の原因になります。 |
卵子は胎児の時に作られ、その後は新たに作られることはありません。現在、その卵子が卵巣にどれくらい残っているのかがわかります。この値を参考に、治療の提案を行います。
血液中の抗体を調べる検査と子宮頚部を綿棒で拭い、その中にクラミジア菌がいるかを調べる検査があります。クラミジアに感染していると骨盤腹膜炎を発症したり、卵管閉塞となったり通常の受精が難しくなります。
血液中の抗体を調べる検査です。妊婦さんが風疹にかかるとお子様が先天性風疹症候群となり、重篤な奇形を引き起こす可能性があります。妊娠を希望されている方に、今現在、風疹抗体があるのか調べています。抗体がない場合は風疹ワクチンを接種していただき、接種後2ヶ月の避妊が必要となります。
子宮の入り口から細い管を入れて造影剤を注入し、X線写真を撮り、子宮腔の形や卵管の通り具合を調べる検査です。この検査は月経終了直後から排卵前までに行います。
また不妊治療の早期に行うことが望ましく、その結果によって体外受精が必要になるなど、今後の治療方針が決まっていきます。
生理食塩水を子宮〜卵管内に通し、卵管の通過性を予測することができます。
子宮卵管造影検査が実施できない場合、この検査にて代用することがあります。
4〜5日間の禁欲後、採精していただきます。
精液量、精子数、運動率、奇形率がわかります。精液所見は、その時々の体調でも変化するので、1回の検査結果がすべてではありません。
また、不妊治療の早期に行うことが望ましく、その結果によっては体外受精が必要になるなど今後の治療方針が決まっていきます。
超音波検査で、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫、卵巣チョコレート嚢腫、子宮奇形が疑われるときは、MRIにて精密検査を行います。
超音波検査やMRI検査で、粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮奇形が見つかったときに行います。
タイミング法 | 超音波検査やホルモン検査で排卵日を予測します。 その日に夫婦生活を行います。 |
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人工授精(AIH) | 人工授精について、詳しくはこちらの「人工授精について」をご覧ください。 |
体外受精・顕微授精 | 体外受精、顕微授精について、詳しくはこちらの「体外受精について」をご覧ください。 |
それを決めるのは3つの要素です。
奥さまの年齢
36才以下:タイミング3回 → 人工授精3回 → 体外受精
37才〜39才:人工授精3回 → 体外受精
あくまで目安です。
担当医がご夫婦とよく相談して体外受精を行うかどうかを決めていきます。
これから体外受精を受けられる方、迷っておられる方に、妊娠の仕組みや体外受精とはどういうものか、方法、副作用、成績、費用など詳細にお話しする説明会を開催しています。
体外受精をご希望の方は、必ずご夫婦でのご参加をお願いしています。
詳細はこちらをご覧ください。
不妊の原因となる子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症などの疾患に対して腹腔鏡手術あるいは子宮鏡手術を行っています。
当院は日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医が3名在籍しています。
詳しくはこちらの「婦人科ページ」をご覧ください。
洗浄精子を直接子宮内に注入し、妊娠率を高める方法です。
当院での妊娠率は5~10%です。
ステップアップについてはこちらをご覧ください。
体外受精は次のような過程で行われます。
排卵誘発剤を使用し卵子を育てます。
年齢、AMH値、今までの治療経過、その月経周期のホルモン状態を参考にして、患者さんに一番合った誘発方法を提案します。
経腟超音波下で卵胞を見ながら、膣から卵巣に向けて針を刺します。1個1個の卵胞を針で刺して、卵胞液と卵子を回収していきます。麻酔を使う場合と麻酔なしで行う場合があります。
体外受精の受精方法は3種類あります。
精子と卵子を同じ容器に入れ、精子の受精能を利用して受精させます。
自然な受精に近いです
多精子受精が起こる可能性があります
受精障害の場合は、受精率が下がります
細いピペット(針)で卵子1個対し、精子1匹を注入し受精させます。
※顕微授精の際には、偏光顕微鏡で紡錘体の位置を確認し顕微授精を実施しています
精子が少ない場合でも受精可能です
針を使って卵子の細胞膜を破るので、卵子に負荷がかかります
〈卵子活性化処理について〉
顕微授精の受精率は70~80%ですが、顕微授精を行っても極端に受精率が低い、または一度も受精しない場合があります。
このような患者さんに対して、次回の顕微授精時に卵子活性化処理を行い受精率の改善を図る方法があります。
当院では卵子活性化処理にカルシウムイオノフォアを使用します。
顕微授精による受精障害があると考えられる患者さんに、医師からの提案があった場合に行っています。
採れた卵子を2つのグループにわけ、一方に媒精、一方に顕微授精を行います。
この方法を選択された場合、顕微授精を行う個数は最大5個までとしています。
2種類の受精方法を行うことで、それぞれのメリット、デメリットを分散することができます
採卵数が少ない場合には媒精と顕微授精の両方を行うことはできません
採卵後、受精した胚は分割を進めながら発育します。
受精後5日目の状態を胚盤胞といいます。
採卵後5日目に胚盤胞となった胚(受精卵)は主に凍結をします。
子宮内膜の胚の受け入れ期間は決まっていて、それは排卵後5日目から8日目の間といわれています。この受け入れ期間を『implantation window』と呼びます。また、胚も日々変化を遂げ、5日目に『胚盤胞』にまで成長します。この『胚盤胞』が『implantation window』の時期に子宮内に到達すると着床するのではないかといわれています。
しかし、卵巣刺激を行った月経周期では卵胞が多数できることで子宮内膜の変化は早まり、一方、胚は体外で培養されることでゆっくり成長します。すると、胚の状態と子宮内膜の最適な着床時期にずれが生じる場合があります。そのため、いったん胚を凍結することで、別の月経周期に着床に最適な時期に最適な状態の胚を移植することができます。新鮮胚移植と比較して、凍結融解胚移植は妊娠率も高くなっています。
以上の理由から、当院では凍結融解胚移植(胚盤胞移植)を主流に行っています。
超急速ガラス化保存方法を行っています。
胚(受精卵)を凍結保護剤に浸透させ、液体窒素中で保存します。
※胚の凍結・融解の際に、温度変化によって胚の細胞の一部が変性してしまうことがあります。胚のグレードがよくないと変性がおこる可能性は高くなります。
移植には主に凍結融解胚移植と新鮮胚移植の2つの方法があります。
卵後凍結した胚を別の月経周期に融解移植します。
胚発育と内膜を同期させることにより、新鮮胚移植と比較して着床率が上昇します。
ホルモン補充により子宮内膜を作成し、移植します。
スケジュール調整がしやすいため、お仕事と両立されている方におすすめの方法です。
自然排卵後の黄体期内膜を利用し、移植します。
排卵遅延や排卵障害のある方には、クロミッドやフェマーラなどの排卵誘発剤を併用することもあります。
ホルモン補充周期と比較して、メリットは薬の使用が少ないこと、デメリットは通院回数が多くなり、排卵日に合わせて移植日が決まるので予定が立てにくいことです。
凍結胚移植の際は、ほぼすべてアシステッドハッチングを施行しています。
アシステッドハッチングを行った
孵化途中の胚盤胞
卵子の外側は透明帯という殻に覆われています。受精した卵子は透明帯の中で分割し、5日目あたりに胚盤胞という状態になります。胚盤胞は成長を続け内径が大きくなり、透明帯は薄くなっていきます。さらにそれが進むと透明帯が破れ、胚盤胞が外に脱出(ハッチング)し、着床します。アシステッドハッチングとは、胚が透明帯から脱出するのを助ける方法です。当院では、安全性と機能性を考慮して、レーザーを使用したアシステッドハッチングをおこなっています。
採卵後、胚を凍結せずに移植します。
高濃度ヒアルロン酸含有培養液は、胚移植用の専用の培養液です。
ヒアルロン酸の成分が通常使用している培養液よりも豊富に含まれています。
移植時に高濃度ヒアルロン酸含有培養液を使用することで、妊娠率が向上するという報告があります。
保険適用で使用する場合には、過去の胚移植において不成功であった場合など、条件つきで使用できます。
ご希望の場合は、医師にご相談ください。
黄体補充とは着床に大きく関係している黄体ホルモンを補充することです。着床環境を良くするために行っています。
注射や内服薬、膣座薬などを使用します。
移植後、10日~15日間で妊娠がわかります。採血にて妊娠判定を行っています。
PGT-A(着床前診断)とは「着床前遺伝子胚異数性検査」のことです。
体外受精で得られた卵で、移植前に胚の細胞の一部を切り取り特定の染色体の過不足がないか検査するものです。
流産の原因の一つに胚の染色体過不足があります。
移植をする前に染色体過不足の有無を検査することで、流産の可能性の低い(染色体の過不足のない)胚の移植が可能になります。
PGT-Aの先行研究では反復流産や反復体外受精不成功の患者さんで、移植当たりの妊娠率が40%程度から約60-70%に、生児獲得率も20-30%から50-60%に上昇したとの報告があります。
当院でも反復流産や反復体外受精不成功で検査を希望する患者さんに、自費診療でPGT-Aを行っています。
Sato T, et al.:Preimplantation genetic testing for aneuploidy: a comparison of live birth rates in patients with recurrent pregnancy loss due to embryonic aneuploidy or recurrent implantation failure, Hum Reprod. 34(12):2340-8,2019.一部改変
(自然妊娠も含め)流産を繰り返す人や、体外受精による胚移植を繰り返しても妊娠にいたらない方
この検査を受けることで、より妊娠する可能性の高い(染色体の過不足がない)胚の移植が可能になります。
検査を受けることで移植あたりの妊娠率・生児の獲得率が上昇することが期待されます。
凍結している胚盤胞自体の妊娠率をあげるものではありませんし、検査を受けることで結果的に移植に適した胚が見つからないこともあります。
ご夫婦の染色体の構造変化がないかの確認が必要なため、血液検査を受けていただきます。
また、自費診療の体外受精の治療で採卵を行うことが必要です。
他院で採卵した胚については胚の移送が必要になりますので、個別にご相談ください。
PGT-A検査については生殖医療センターの外来でご案内のパンフレットを配布しております。
また、検査を受ける際にはご夫婦で専門の医師から複数回、遺伝カウンセリングを受けていただく必要があります。
受精卵を一定間隔で写真撮影し、連続した写真を繋ぐことで動画のように観察できる最新の培養器です。
従来型の培養器では観察のたびに胚を培養器から出す必要があり、温度や酸素濃度の変化が卵の成長に影響を及ぼす可能性がありました。
タイムラプスを使用することで、卵の成長具合を培養器から出さずに観察することができるため、安定した培養環境を維持することで胚発育の向上(胚盤胞到達率向上)が期待できます。
また、培養中の胚の成長について多くの情報が得られることで、より移植に適した胚を選択することが可能になります。
良好な胚を複数回移植したにもかかわらず着床しない時に、着床に適した期間(着床の窓)を調べます。
子宮内膜の細菌の種類と量を調べます。子宮内膜の乳酸菌の割合は、着床・妊娠率に関わりがあるといわれています。
慢性子宮内膜炎を起こす細菌を調べます。
※検査の詳しい内容は下記サイトをご覧ください。
費用については、こちらの「検査や治療の費用」をご覧ください。
体外受精を行なう方は、誘発方法にもよりますが、卵子を育てるため、月経3日目から採卵日まで連日の注射が必要となります。
当院では注射を患者さん自身で行っていただく、自己注射を実施しています。 自己注射にすることで、個人差がありますが、6日程度の通院の必要がなくなります。 通院回数・通院時間減らすことできるので、家事やお仕事でお忙しい方や、遠方からお越しの方の負担を軽減することができます。
また、皮下注射で実施できることから、病院で実施する筋肉注射と比べて痛みもかなり軽減されます。
「難しそう…」「自分で注射をするのは怖い…」「うまく注射できるかな…」
不安に思われている方も、看護師がゆっくり丁寧に指導します。
人工受精や体外受精などの治療
治療開始時において女性の年齢が43歳未満であること
39歳までの方 | 採卵 | 移植を保険適用にて実施することを前提に採卵は保険適用 |
---|---|---|
移植 | 6回まで | |
40~42歳までの方 | 採卵 | 移植を保険適用にて実施することを前提に採卵は保険適用 |
移植 | 3回まで |
保険適用3割負担、高額療養費制度(※1)の対象となります
一般不妊治療 (人工受精) |
約6,000円(薬剤料・検査代別) | |
---|---|---|
生殖補助医療 (体外受精) |
採卵 | 約150,000~200,000円 ※排卵誘発方法や採卵数、受精方法によって金額が変動します。 また、処方薬は調剤薬局で購入していただく場合もあります。 |
移植~判定まで (ホルモン補充周期) |
約60,000~70,000円 ※妊娠判定後もホルモン補充が必要な場合は、別途料金がかかります。 |
(※1)具体的な上限額や手続きは、ご加入の医療保険者にお問い合わせください。
※診察代、検査代、薬剤料等、別途料金がかかります
※上の画像をクリックするとPDFでご覧いただけます
先進医療‥保険診療と保険外診療との併用を認められている技術です(施設により金額設定は異なります)。先進医療対象の技術料は自費診療です。
※以下の金額の他に診察料・薬剤料・検査等の費用が別途かかります
2024年1月現在
誘発~採卵~胚凍結まで | 約150,000~200,000円 ※誘発方法、採卵個数、受精方法、凍結個数により変動します (診療報酬点数の10割負担を基本に算出します) |
凍結胚移植 | 約160,000円~170,000円 |
※診察代、検査代、薬剤料等、別途料金がかかります
※上の画像をクリックするとPDFでご覧いただけます
項目 | 費用 |
---|---|
判定後処方 | 約20,000円~(税別)/回 |
項目 | 費用 |
---|---|
凍結卵子・凍結胚・凍結精子保存更新料金(1年ごと) | 20,000円(税別) |
PGT-A検査 | 約50,000円(税別) /胚盤胞(1個あたり) |
ERA+EMMA+ALICE 検査に必要な薬剤・処置費用含む |
約200,000円(税別) |
EMMA+ALICE 検査に必要な薬剤・処置費用含む |
約150,000円(税別) |
※クレジットカード・電子マネー払いに対応しています。詳細は、よくある質問の「支払い、ATM」をご覧ください。
不妊治療・先進医療は、治療にかかった費用の一部の助成を受けることができます。
助成制度については、お住まいの市町村により制度内容が異なるため、患者さんご自身で市町村のホームページや管轄保健所にお問い合わせください。
助成金には申請期限があります。ご確認のうえ書類のお申し込みをお願いします。
※病院で証明が必要な書類は当院総合受付1~3番窓口でお申し込みください。
書類の完成には2~3週間ほどかかります。
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